全学のみなさん、2月3日(月)正午の時計台前に注目しよう! われわれ吉田寮自治会はこの日「『在期』粉砕!新自治寮獲得!大集会を開催する。昨年11月13日同所で全学及び全国の学寮に呼びかけて行った大集会2をおぼえているだろうか。今回2・3の大集会は11・13で確認された全国的視野をもった寮闘争の深化発展の1つのメルクマールである。吉田寮にかけられた攻撃が全国にかけられた大学再編の一環であることを最後強く認識し、「在寮期限」を粉砕し、「在期」後も一層強く運動を構築してゆく決意と展望をこの集会で明らかにしよう。
「在期」の狙いは「正常化」
1982、12、14不当決定された「86、3、31吉田寮在寮期限」は、吉田寮につちかわれてきた寮自治の抹殺を企図したものである。これを口実に当局は、寮の管理運営権の当局完全掌握や、経済的諸権利のはく奪「正常化」を一気になし崩しに行おうと考えたのである。われわれ吉田寮自治会をはじめ多くの学生、諸団体はこうした当局の狙いを見抜き、絶えずこれを粉砕する闘いを続けてきた。が、当局は、これを一切無視・弾圧し、ゴリ押しの「正常化」路線を突っ走り、今に至っている。
当局は「在期」実質化強行を狙っている
1・13対学生部抗議行動3などで顕在化したように、現在、学生部は、「在期」到来を目前にして、その実質化を強行する方向で当局内部の意志一致をとろうとしている。「在期」実質化とは、3月自主入寮募集の妨害をはじめとして、「在期」到来後、寮内労働者引き上げ、送電ガス停止などによる寮機能停止、寮生に対する「不正規」規定及び退寮どうかつなど、そして最終的にはこれらの攻撃で寮生数を減らした後の暴力的叩き出しで、つまりは「正常化」の一挙的完成である。学生部は上記のようなスケジュールでの「在期」実質化強行を企図し、そのために必要な部局レベルでの学内コンセンサスを得ようと画策しているのである。
全学の力で当局の企図を粉砕し、吉田寮を防衛しよう!
だから「在期」を粉砕するためには、まずこの1、2月期に5項目署名4―団交要求署名5に表されるような大衆の力で各部局長―各学部長を追求する必要がある。彼らの寮問題に対する立場を明らかにさせ、「在期」の不当性を徹底して認識させることにより、反動的方向の学内コンセンサス形成を阻み、学生部当局を孤立させるのである。
その上でわれわれは常に学生部当局を圧倒する大衆勢力で、なおもゴリ押しを画策するだろう当局の「在期」実質化策動を逐一粉砕していくのである。そして4月意向も全学の力で吉田寮を防衛・存続させていくなか、学生部当局をいよいよ孤立させていくのだ。そして寮問題の責任を問いただすべく、学生部長・総長を大衆団交の場へ引きずり出すのである。この学生部長・総長との団交の場で、「在期」実質化の完全粉砕・新寮への現吉田寮自治会の無条件移行をかちとるのである。すべてのみなさんがこのことを確認し、共に闘ってくれんことを訴える。
寮問題は全国的大学再編・管理強化の一環だ。
「在期」の狙いは先に述べた通り「正常化」である。が、つあるところ当局は学生をどうしようというのか。
それは、社会批判の質をもつ自治を圧殺しようとすることから推して測られるように学生を当局に対して文句を言わない従順なロボットにすることにある。これはひとり京大のみではなく全国各大学に共通した攻撃であるし、大学外でも全国で根強く闘われている課題である。政府―資本は全国を従順なロボットばかりにし、差別―抑圧を増強するような制作を国内外双方に、より効率的にすすめていこうとしているのだ。文部省―大学当局はキャンパスにおけるそうした反動的攻撃を狙っているのである。
われわれ吉田寮に対し「在寮期限」という形で焦点化している寮問題もこのような全国的な攻撃の一環としてとらえ、反撃していかねばならない。
2・3大集会に結集し、全学・全国の連帯をうちたてよう!
以上のような認識にたち、2・3大集会が行われる。1・13大集会6では学内団体のほかに全国から招いたのは学寮だけであったが、今回は学寮のみでなく幅広く、大学再編や差別―抑圧と闘う諸団体・仲間を全学はもちろんのこと全国から招き、11・13からさらに深化した全国的連帯共闘を創出していく7。これは、吉田寮「在寮期限」を粉砕し、新自治寮をかちとっていくためのものである。だが、それだけではなく、より包括的に「在期」を粉砕した後もなお、国内再編・大学再編に抗するための全国的連帯共闘でもあるのだ8。
われわれの運動はやがて大海原に出るのである。
すべてのみなさんが2・3大集会に結集されんことを訴える。共に闘わん!
1986,1,30 吉田寮自治会
スローガン
ちなみに当時の寮生の証言によれば、この集会の名称が「大集会」なのは、「全学集会」を称することが困難な状況あったからだという。そもそも本集会は当初1月31日に予定されていた。「取扱厳重注意!」とある1月18日付の執行委員会レジュメと思われる内部文書には、「1月の大集会についての変更点について」として、
1.日付は2月3日(月曜日)12じからに移動します。
理由はC代大をC代大実が1月31日に設定してきたからです。
2.集会名称は下のとおりです
「在寮期限」粉砕 新自治寮獲得 2/3時計台前大集会
(全国集会というのは他大学に提起するという性格をあらわしているのであって名称ではナイ)
とある。
なお、時計台は、中核派が常駐している教養部構内より公道を挟んで向こう側の本部構内にあり、かつ2月3日には吉田神社の節分祭のため公道には屋台が並ぶことになっていた。当時の寮生によると、2月3日に集会を設定したのは、2月3日が中核派が部隊をなして集会を妨害できないであろう唯一の日であるからとのことである。
ちなみに、本集会は遅くとも1月20日付のビラ「吉田寮「在寮期限」を全学団交戦で粉砕しよう!」(吉田寮自治会)で全学に明らかにされたのであるが、集会会場をめぐってトラブルが生じている。ビラ「今こそ全京大人の世論で暴力・殺人者集団を一掃しよう!」(1986年2月3日、自治会連絡協議会(教養部自治会常任委員会・法学部自治会常任委員会・教育学部自治会自治委員会・理学部自治会評議会)・院生協議会・職員組合・生協労働組合)によると、「暴力一掃の運動に敵対し、会場明け渡しの不当な要求!!」として、「暴力を根絶し、安心して学び働ける学園を!! 2・3緊急全京大人集会」を「去る1月23日に他団体の届け出がないことを確認いた上で、1月25日付で院生協議会が学生部に対し申し込んだ」にもかかわらず、「吉田寮自治会主催の「“在期”粉砕!新自治寮獲得!時計台前大集会」を同日時に同じ場所で予定していることが、1月28日教養部にて配布されたビラにて判明し」、「会場を当初の時計台前広場から法経7番教室に変更を余儀なくされ」たという。
1986年1月30日付のビラ。後にこのビラの一部が問題とされ、中核派による追及の結果、2月2日付で吉田寮自治会は自己批判を表明した(自己批判文及び一連の事態に関する中核派の見解であるビラ「暴かれた「2・3時計台前集会」の正体」はいずれも本資料集に収録。また、詳しい事実経過は2月2日付の自己批判への解題を参照のこと)。↩
「「在寮期限」撤回・全評議員追及・新自治寮獲得大集会」のこと。↩
1986年1月13日付の吉田寮自治会による抗議文(本資料集に収録)への解題を参照のこと。↩
巻末の用語一覧を参照のこと。↩
各学部ごとに点かいされていた団交実行委員会主催の署名運動を指しているものと思われる。↩
「11・13大集会」の誤りと思われる。正確にいうと、テクストでは「1・13」の前に一文字分の空白があり印刷がかすれているだけかもしれない。↩
この文章の中で、「今回は」以下「全国から招き」までの部分は2月2日付の自己批判で撤回された。↩
この文は全文が撤回された。↩