1986年1月30日付でわれわれ吉田寮自治会で出したビラ(2・3「在寮期限」粉砕!新自治寮獲得!時計台前大集会へ集まろう)の裏面「2・3大集会に結集し、全学・全国の連帯をうちたてよう!」の見出しで始まる文章で以下の文;
「今回は学寮のみでなく幅広く、大学再編や差別―抑圧と闘う諸団体を全学はもちろんのこと全国から」「だが、それだけではなく、より包括的に『在期』を粉砕した後もなお、国内再編・大学再編に抗するための全国的連帯共闘でもあるのだ。」
について、その箇所を撤回するとともに、われわれ吉田寮自治会の見解を明らかにする。
われわれ吉田寮自治会は、全国の政治団体を呼んで新たに党派的立場にたった階級闘争をつくりあげてゆく、という意図を有してはいない。われわれ吉田寮自治会は寮の自治会であって、階級斗争の全国方針を出すような党派ではない。われわれは寮の自治会としての立場から、全国再編・大学再編に抗する視点をもって寮闘争を闘い抜き、様々な闘う人々との連帯・共闘を求めてゆくものである。
しかし、今まで吉田寮自治会は、自治会として差別―抑圧と闘う方向性をめざしながらも、具体的な闘争を担ってきたわけではなかった。そうした具体的斗争を担ってこなかった、われわれ吉田寮自治会が、差別―抑圧と斗っている人々との連帯・共斗を安易に提起したことは、われわれが京大生であるという立場性と、そうした連帯・共斗を創りあげてゆくことの困難性を捨象したものであった。執行委員会がそうした認識なしに十分な討論を行わないまま全寮生に提起し、また、全寮生が真摯な討議を行わず承認したことは、十分な討議のもとでの全寮生一致による実践により斗いを深化、発展させてゆくというわれわれの視点においても、また、差別―抑圧と苦斗している人々との結び付きを真にわれわれのものとしてゆく上でも、はなはだ不充分であり、差別―抑圧と斗う自治の内実を考え直さねばならないものであった。以上の点を真摯に反省し、すべての差別―抑圧と斗う人々に対し、われわれ吉田寮自治会は謝罪と自己批判の意を明らかにしたい。今後、われわれ吉田寮自治会は、先に述べた、全国再編―大学再編に抗する視点をもって寮斗争を斗いぬき、差別―抑圧と斗う自治の内実をさらに発展させる、という方向性をもって斗ってゆきたい。
1986年2月2日 吉田寮自治会
原資料には題名なし。内容から、編集部の責任で「自己批判」という題名をつけた。吉田寮自治会が1月30日付で出したビラ「2☆3正午ヨリ「在寮期限」粉砕!新自治寮獲得!時計台前大集会へ集まろうっ」(本資料集に収録)の文言について中核派が問題にし、追求が行われた。その結果、吉田寮自治会側が2月2日付で表明したのが本文献である。
2月4日付の執行委員会レジュメによると、2月2日の午後8時35分頃、「C斗が委員会室への乱入を図」り、「渉外担当2名が,無理矢理外に出され、残る5人(委員長,各寮総ム4人〔N,C,S,WのN〕)は委員会室内でバリケードを築」いた。
「中核の言い分は、1/30付での吉田寮自治会ビラの内容を理由として2/3大集会は認められない、というもの」であった。その後10時頃、第1回の総会において訂正文を書き、11時頃「寮食堂にいる中核へ訂正分を持っていく」が、中核派は「自己批判を出せと要求」したため、翌3日の午前1時30分頃「訂正文の再検討を総会ではじめ」た。なお、委員会室に残っていた5名は、午前0時過ぎ、「寮生数名の協力により中庭に面した窓より、網戸をけやぶり脱出」していた。
午前3時頃、「再度食堂へ」行き、自己批判を持っていったところ、中核派は「「こんなもん自己批判とちがう」と最初から寮生に対して暴コウをふるいはじめ」た。「「おまえたちには自己批判の能力がないことが判明した」/「ビラ原を書いた人間を出せ」/「こんなビラは高度の政治だ。このビラを出させたのは党派の人間だ。お前たちは党派に引き回されている」/「責任がとれない以上集会は中止しろ」/を声高に主張し、我々の話には全く耳を傾けず、寮生への暴行、ドーカツをくり返」した[編集部注:/は原資料における改行を表す。以下同様]。「吉田寮自治会が党派の引き回しにあっていることの理由として」、「1.1/20への声明/2.民青の反暴力キャンペーンに対する反論/を吉田寮自治会だけがやっていない点をあげていた」。
午前5時頃、第3回の総会が開かれ、「・集会までに、吉田寮自治会の自己批判書・1/20への声明をだすこと/・時計台前でおこなわれる民青の集会は責任をもって潰す/・集会はやる/の3点を確認して、中核へ言いに行くことを決定」し、午前5時30分ごろ、食堂へ行って「3点を言ってすぐ事務室へ引きあげ」たところ、午前6時頃、中核派は「南寮の1階を通ってひ」きあげた。
なお、本資料集に収録のビラ「暴かれた「2・3時計台前集会」の正体」(マルクス主義学生同盟中核派京大支部)も参照のこと。