要求書

吉田寮自治会

学生部長 河合隼雄殿

1982年12月14日、京大評議会は「吉田寮の在寮期限を1986年3月31日とする」なる決定を下した。この決定は事前に吉田寮生との何らの話し合いもなく、しかも当日講義にかけつけた寮生・学生を職員を配備して暴力的に排除して行われたものである。しかも京大当局―学生部は「在寮期限」決定の理由を後になって老朽化から「正常化」にすりかえるなど評議員までもペテンにかけたものであった。我々はこういった当事者不在の一方的決定を到底容認出来ない。

その上京大当局―学生部は全学の反対の声を無視して1986年4月1日を境に「在寮期限」を一部実質化した。その中で、我々吉田寮自治会と一切の話し合いなく「入寮募集停止」措置を抜き打ち的に決定したのである。その後も京大当局―学生部は新寮建設・現寮補修に対してサボタージュを続け、数度にわたり「退寮勧告」なる文書を寮生・親許へ送りつけるなど寮生叩き出しへ向けた準備を進めている。我々はこれまでも自主入寮募集―選考を寮自主管理の一環として行ってきたし、これからも行う。そして寮自治会が選考し、入寮を許可した者はすべて吉田寮自治会に属する寮生であることを改めて宣言する。

我々は京大当局―学生部による「在寮期限」を理由とした寮自治会との話し合いを拒否・寮自治権の剥奪・寮機能の縮小(廃止)など絶対に許さない。

以上我々吉田寮自治会は学生部長たる貴殿に対し以下の点について要求する。

  1. 吉田寮に関することはすべて寮自治会をはじめとする学生と話し合え。一方的な廃寮化決定をするな。
  2. 入退寮権をはじめとする吉田寮自治会の諸権利を侵害するな。

以上2項目についての見解を6月30日(木)までに全学に明らかにせよ。

1988年6月13日
吉田寮自治会

編集部による註釈

1988年6月13日、河合隼雄学生部長に対し吉田寮自治会が提出したもの。同時に、要求項目を全学の声とすべく「吉田寮廃寮化を許すな!二項目要求署名」運動を展開した。学生部長からの回答は期日の6月30日を過ぎてもなされず、運動の集約として7月4日に「廃寮化攻撃粉砕!自治寮防衛!治安弾圧体制強化を許すな! 7.4全学集会」(主催:吉田寮自治会)が開催された。集会に先立ち、吉田寮自治会は学生部棟前で緊急抗議集会を開催し、署名840名分を牧山等厚生課長に提出した。さらに回答を求めるべく、学生部長本人を学内で補足して大衆的に追及しようと、7月7日に河合学生部長の自宅前から通勤途上の要所に要員を配置したが、把握しそこない、未遂に終わった。